インタビュー

6人の僧侶の姿を通して伝えたかったこととは?
仏教が秘めた「可能性」とは?
そして、『Buddhist -今を生きようとする人たち-』というタイトルに込められた
監督自身の「願い」とは?

後藤サヤカ監督、ロングインタビュー。

監督プロフィール
1984 年兵庫県生まれ 合同会社メイジュ代表。2009 年、沖縄を舞台にした映画作品のためのリサーチに訪れた久高島で、自然とありのままに共存する暮らしに深く共感。
2012 年、ドキュメンタリー作品「はじまりの島」を初監督作品として制作。

―今回の映画を撮りはじめたきっかけを教えてください。

後藤:実は、もともと、「仏教の映画を作ろう!」と決めて撮りはじめたわけじゃないんですよ。ご縁がつながって、導かれて、いつの間にか……という感じで。

―「縁」ですか。

後藤:話はかなり遡るのですが、もともとこの映画を撮る前に、もう一作品、『はじまりの島』っていう映画を撮っていたんですね。島特有の精神文化とか、自然崇拝とか、そういったものを大事にしている久高島っていうところのドキュメンタリーで。そもそもなんで久高の映画を撮ろうと思ったのかというと、2011年の地震が大きなきっかけになっていて。

―東日本大震災。

後藤:そう。あのときになんか、目を覚まさざるを得なかったというか……。あのときから、この国では今なにが起きているのかっていうことをどんどん掘り下げて、自分なりにいろいろ調べたりだとか、原子力を研究している人だったりの話を聞きに行ったりだとか、自分が知らなかったことを知ろうっていう自発的な動きを、すごくしたんです。そんな中で、まずは、自分が、「生きる」っていうのを、すごくこう、決意したんですね。「こんな状況だけど、とにかく生きるっていうことを決めるしかない」って。それで、2011年の後半ぐらいに、映像を通して、「生きる」ということを、自分だけじゃなく、周りの身近な人たちと一緒に考えたりする作品を撮りたいな、と思い立って。それで思い浮かんだのが、数年前から何度か訪れてお世話になっている久高島のことで。これはもう、できる限り早いタイミングで久高の映画を撮って公開しよう、と。それで、2012年の1月、旧正月の3日間の久高島の様子を撮影して。

―すぐに行動に移されたんですね。

後藤:そう。そこから、もう、ものすごいスケジュールで、昼も夜もなく編集して。上映日を先に決めてしまっていたので、かなり忙しかったんですけど、なんとか完成させて。6月の2日間、渋谷のアップリンクっていうところで上映会をして、とにかく、やり切って。そこから、ありがたいことに、2回、アンコール上映をさせてもらったんですね。それで、その年の秋の上映会に、数名のゲストをお呼びしたのですが、その中に、松本紹圭さんというお坊さんと、あと、仏教にも詳しい作家の天川彩さんという方がいらっしゃって。

―それが仏教との出会いですか?

後藤:いや、元々、仏教関係のサイトのデザインをやっていたりする方が身近にいて、面白いお坊さんの存在とか、その活動とかは聞いていて、仏教に対する淡い関心はあったんです。でも、そうですね、明確なきっかけとしては、天川さんの存在が大きかったかな。

次ページ そのときそのときの状況が、私を、この映画の制作に導いていったんです

PAGE TOP